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ロシアのお正月2015.12.25

今回はロシアでの年末からお正月についての過ごし方について皆様にお届けしたいと思います。

ロシアでのお正月の過ごし方は大晦日から新年にかけて家族と一緒に過ごしたり、友人らと集まって年越しをしたりと基本的に過ごし方自体は日本とそんなに変わらないと思いますが、いくつか日本とは違うロシア独特の伝統があります。その一つにもみの木があります。

日本でもみの木というとクリスマスツリーの印象が強いですが、ロシアでもみの木というと、クリスマス用ではなく新年と幸せを祝う象徴の木となっていて、12月に入ると大型店や市場、道端等でもみの木コーナーなるものが設けられ、そこには本物の生きたもみの木が売られます。大きさも勿論テーブルに置ける様な小さいサイズの物もありますが、一般的には約1メートルから3メートル位の大きいもみの木が主流です。

この大きいもみの木を買った後に家でそれぞれの装飾を施し、年末から年明けにかけて約1ヶ月程飾られます。綺麗に飾られたもみの木を見るとロシアの人はクリスマスではなく新年を肌で感じるようです。

装飾されたもみの木は家や公共の場、レストラン、お店だけではなく、職場等にも現れます。会社によっては玄関やロビー等にもみの木を飾り、新年のプレゼントを同僚や上司等に贈るという習慣もあるようです。

年末の仕事場や新年に会う人にプレゼントを贈るというのもここロシアでは習慣となっていて、年末になると両手に沢山のプレゼント袋を持った人達で街は溢れます。1年を通しての1番大事な祝日に向けてこの時期の街は非常に活気に満ちているのが手に取るようにわかります。

子供達に新年のプレゼントを運んでくるサンタクロースはロシアではдед мороз : ジェード マロースと呼ばれ、更には снегурочка : スネグーラチカというジェードマロースの孫娘 (諸説あり) も一緒にいます。元々のスネグーラチカとはアレクサンドル オストロフスキー (1823-1886) の戯曲 ’雪娘’ の中に登場するキャラクターで、そこから派生し、現在では彼女もジェード マロースと一緒にプレゼントを配る人として、ジェード マロースと共に新年に欠かせない存在となっています。

新年を祝う料理としては、まだ国が貧しかった19世紀前半頃はお祝いの料理として酢漬けのきゅうり、数種類のサラダ、フルーツなどを囲んで新年を祝っていました。その後19世紀後半になるとサーモンやイクラ、チーズ等が加わり、勿論忘れてはいけないロシアのアルコール、ウォッカや自家製ビール、海外製のワイン等が登場します。

そしてこれも忘れてはいけないものの一つとしてロシア大統領による演説があります。一部の放送局を除き大体の放送局から同じ時刻にこの大統領による新年の挨拶が一斉に放送されます。勿論演説を真剣に見る人もいれば、とりあえずチャンネルを合わせる等人それぞれ違いますが、大抵の場合はどこでもこの放送を目にします。12月31日が終わる直前5分前程になると、盛大なファンファーレ音と共にモスクワの風景が流れ大統領の挨拶が流れます。1月1日0時になる数秒前に挨拶は終わりモスクワクレムリン内にある時計台が移され鐘の音と共に0時をカウントダウンします。このあたりはNHKのゆく年くる年で除夜の鐘が流れるのに似ていますね。0時を回ると国歌が放送され、その後はそれぞれ好きな番組を見ながら新年をお祝いするというのがここロシアの伝統です。

それぞれの国によって伝統や風習は違いますが、新年を祝う瞬間が嬉しいのはどこの国でも同じだと思います。ロシア的な年末年始の過ごし方が少しでも伝わりましたでしょうか?

それでは皆様、С Наступающим Новым Годом! 良いお年を!